「エロ系ライター」安田理央 Presents
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彼女が風俗を辞めたあと

お気に入りの風俗嬢が出来て、毎月のように通うようになる。ところが、いつものように店へ予約の電話を入れると「Aさんはお辞めになりましたと、店員の冷たい声・・・。あのガックリと来る気持ちというのは、体験した人にしかわかるまい。もうあの娘のフェラを味わうことは出来ないのかぁ、なんて直接的な失望だけじゃなくて、不思議な寂しさがあるのだ。風俗好きは多かれ少なかれ、みんなこうした体験をしたことがあるはず。ま、数ヶ月後にちゃっかり別の店の別の女の子として風俗雑誌に載っているのを発見したりするものでもあるが。

女の子がどうして風俗嬢になるのか、はよく語られるのだけれど、どうして辞めるのかはあまり話題にならない。もともと「はずかしい仕事」だから、辞めるのは当然、と思ってしまうのか。

ずーっとひとつの店で頑張っている女の子もいるが、たいていの風俗嬢は半年位で店を変える。一ヶ月単位であっちいったりこっちいったり腰の落ち着かない子も珍しくない。

今は女の子もちゃっかりしていて、稼げない店だとわかると容赦なく他へ移ってしまう。店長や店員と相性が悪くても同じだ。店長が変わったから店を辞めたなんて子もいる。

風俗求人誌を広げれば求人広告をいくらでも比較できる時代ならでは、ということもあるだろう。インターネットなどを通して、店を越えた風俗嬢同士のつながりも広がっているし。 「最近あそこの店、稼げないんだ〜」なんてボヤけば、すぐに「じゃあウチの店おいでよ。毎日4〜5万イケるよ。店長もいい人だしさー」と答えが返ってくる感じ。

こうなってくるとお店側も大変だ。女の子に逃げられないように気配りをしないと・・・。

さて、店を移籍するのではなく、風俗という仕事自体を引退する場合、そのきっかけは何だろう?

ちょっと前までは借金があるなどの理由で風俗に入ってくる女の子が多かった。でも、借金を返済し終わっても、ほとんどの女の子はすぐには辞めなかった。どうせなら貯金をしておきたいというのだ。マイナスをゼロにするだけではなくて、プラスにしておきたいというわけだ。借金は順調に返せたものの、貯金となると勝手が違ってなかなか貯まらず、そのままズルズルというのもパターンではあったが。

最近の女の子の風俗業界入りの理由で借金のため、というのはずいぶん減っている。特にはっきりした理由はない、というのが多いのだ。

そうなってくると辞める理由も、あまりはっきりとしたものではなかったりする。で、そろそろ潮時かなぁ、なんて思ったりするらしい。

文化人的活動もしている性感女王、南智子さんのように一生風俗の仕事をやっていきたいと考えている風俗嬢も確かに増えてはいるが、多くは「いつもまでもできる仕事じゃない」という意識があるようだ。

雑誌などの取材でも、ひと通り紹介されてしまうと、段々声がかからなくなって来るし、どうしても新しい子がチヤホヤされるのも現実なのだ。

実際には、ソープなどではかなりの年齢になるまで人気をキープできるようだし、最近では熟女風俗店もあるため、やろうと思えばいつまでも仕事は続けられるのだが、そこまで意気込みのある子は、やはり限られる。

そんなわけで、ちょっとしたきっかけで風俗仕事に見切りをつけちゃう子が多いわけなのである。突然、稼ぎ頭に辞められちゃうお店の方も大変だが、さすがに脅しをかけてまで辞めさせないという店は、今はあまりないようだ(あまり、ということは、やはり少ないながらも存在するということなのだが)。 典型的なきっかけのひとつに親バレ、彼氏バレというのがある。僕の大のお気に入りだった新宿某性感ヘルスのRちゃんも、親バレで引退だったっけ。ずいぶん厳格な親らしくて激怒された揚げ句、幽閉状態になってるなんて話を聞いたけど、今はどうしてるんだろう。

しかし、この親バレ彼氏バレの場合、女の子の方がしたたかで、もう辞めたことにして、また働いてる子も多い。しかも、また雑誌の取材を受けちゃうというのだから、こっちが心配になってしまう。

お店の摘発がきっかけで、そのまま辞めてしまう子もいる。ご存知の通り、現在営業しているイメクラ、性感ヘルスの大半は無許可営業のため、警察が入ることがある。摘発に出くわしてしまった女の子たちに話を聞くと、この時の警察官の態度というのはヒドイらしいのだ。「なんでこんな仕事してるんだ、この恥知らずども!」みたいな態度で、モロに犯罪者扱いらしい。証拠の写真なども撮られてしまうらしいし、警察署に連行されて調書を取られるし。

なーんとなく、という軽い気持ちで風俗で働いていた子は、ここで初めて自分がアウトサイドにいたことに気づくわけだ。女の子にとっては大きなショックだろう。もう辞めようと思っても仕方はない。

まぁ、その他様々な理由があって、風俗嬢たちは風俗業界から去っていく。しかしあれだけ稼いでいた生活を一度味わってしまうと金銭感覚がマヒしてしまって、普通の仕事に戻れるのかと、つい心配してしまうが意外にちゃんと順応できるようだ。

だから実は僕らの周りにも、風俗経験のある女の子はかなりいるのである。まさか、この子が? と思うような子が、そうだったりする。

先日知りあいになった女の子がそうだった。エロとは全く関係の無いところで知りあって、どちらかというとアートというかオシャレ系のイメージの女の子だったのだが、「実はイメクラで3年ほど働いてたことがあるんです」と告白されてびっくりした。彼女もお店の摘発がきっかけで辞めたひとり。

「あの頃、お金をいっぱい稼いでイヤになるほどムダ使いしてみたけど、結局お金なんてあってもなくても、おんなじなんだなってわかった」とのこと。

こんなポジティブな意見を聞けるとこちらも嬉しくなる。

「今考えても、あの3年間はすごく勉強になったし、楽しかった。やってよかったって感じ」

って言ってたし。逆に汚れた過去だ、後悔してます、なんて言われると、こちらもいたたまれない気持ちになってしまうけど。

とある女の子がお店のことを「ここは学校みたいなところ」と言ってたけれど、確かに今の風俗店にはそんな一面もあるかもしれない。だからいつかは「卒業」するということだ。辞めた後も、お店に電話してきて近況を報告する女の子なんかも少なくないようだし。「足を洗う」という表現は、あまり似合いそうにない。

でも「また戻ってきちゃった。てへへ」なんて復帰してくれても、風俗好きとしては嬉しかったりするんだけどね。


*「スコラ」(スコラマガジン)00年8月号「はずかしいしごと」より。

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