恥ずかしいことは
人それぞれなんだし「最初はティッシュ配りのバイトをしようと思ったんですよ。友達がやってたから。ピンサロのティッシュだってのは知っていたんですけど、それには抵抗はありませんでしたね。喫茶店で面接されたんですけど、ティッシュ配りのはずなのに、勝手にお店のシステムとか説明して来て、何度も断っているのにお店で働くようにいわれて、知らないうちに体験入店することになってお店へ連れて行かれちゃったんですよ」
喫茶店からお店へ行く途中で逃げればいいものを、Aちゃんはノコノコとついていってしまった。でも、まだお店で断る気ではいたらしいのですが……。
「お店について、体験相手をやるって人が出てきたんですけど、これが私のタイプだったんです。だから、まぁ、体験だけならいいかって思ったら、そのまま、お客さんにつけられちゃって、ズルズルと働くことになっちゃったんです」
もちろん店員側の誘導が上手いということはあります。NOを言わせない応酬話法で女の子をペースに巻き込んで、働かざろうえないように持っていく。Aちゃんは、哀れな犠牲者だといえるかもしれません。
「でも帰りにギャラを渡された時に、えー、こんなことでこんなにもらっちゃっていいのって思ったんです。それで働くことを決めちゃったんですね」
初日のギャラは一万円ちょっと。それでも、Aちゃんは感激してしまったんですね。「こんなことで」ですよ。見ず知らずの男のチンポくわえて、自分もパンツの中をいじられて「こんなことで」ですよ。
「アタシ、何百万もらったって、そんなことできなーい」なんていってる女もいる のに、この差は何なんでしょう。
「だって、高校生の時はコンビニで時給700円とかじゃないですか。それに比べれば、すごいですよ。時給2400円ですもん」
いや、だから、そういうことじゃなくて……。
とはいうものの、この言葉の中にもヒントはあるんですね。ようするにコンビニもピンサロも、大変なことには変わりないと。イヤな客にもニコニコ笑顔を作ってレジ打つのと、見ず知らずの男のチンポくわえるの、どっちも大変じゃないか、と。だったら時給700円より、2400円だな。論理的には正しいですよね。
で、ご存じでしょうが、ピンサロというものは料金が安い分、女の子の給料も安いわけです。シャワーもないから衛生的にも、ちょっとアレですし、フェラ一本勝負なためにしゃぶりっぱなしでアゴが疲れる。だからピンサロでしばらく働いてるうちに風俗のことが段々わかってくると、ヘルスなどのもっと楽で稼げる業種へ移っていく子が多いのですね。Aちゃんと同時期に入った子は、ほとんどヘルスへ移ったそうだし、一緒に働こうよと誘われたことも度々あったとか。でも、彼女はピンサロ以外はやる気がないそうです。
「私、ハダカになるのが恥ずかしいんですよ。あと、アソコを舐められるのも恥ずかしくてダメ。プライベートのエッチの時だって、アソコは舐めさせないですもん。そんな恥ずかしいこと」
ピンサロは、個室ではなくボックスシートでプレイするために、他の客や従業員から、しているところが丸見えなんです。だから、Aちゃんがフェラしてるところだってみんなに丸見え。全裸にはならないとはいえ、オッパイだのお尻だのは出しちゃいますから、それも丸見え。そっちの方がよっぽど恥ずかしいような気もするんですが、Aちゃんにとっては個室で客に全裸を見せる方が、よっぽど恥ずかしいというわけです。
つまり、価値観が違うということですよね。人によって価値観が違うんだから、何を恥ずかしいと思うかは自由。だとすれば、コンビニでレジ打つのと、ピンサロでチンポくわえるのと、どっちが大変かというのも価値観の違いで変わってくるのが当然。
彼女たち──今の女の子たちにとっては、風俗で働くこと、つまり見知らぬ男とエッチをすることは、それほど大変なことじゃあ、なくなっているんです。
高校を卒業したばかりで、池袋の性感ヘルスに入ったMちゃんに、いきなり風俗なんて、抵抗無かったの? と聞いたら、彼女はこう答えました。
「だって、私、高校の時にホテトルやってたもん」
最初は援助交際をやっていたけど、ヤリ逃げされたり危険な目にあったりしてリスクが大きい。それだったら、ちゃんとオトナが仕切ってくれるホテトルの方がいい。そんな風にしてホテトルで働く女子高生が増えているそうなんですね。
「ホテトルよりは、ヘルスの方がちゃんとしてるでしょ。少し更正したってとこかな(笑)」
ちなみに彼女、なかなかいいとこの大学に通いつつヘルスで働いています。
いわゆる援交世代といわれた年齢の女の子が現在の風俗を支えているわけで、そこに以前の価値観を持ち込んでも、理解はできません。かくいう僕も、30歳オーバーの世代なので、ものわかりよさそうにしてても、彼女たちを理解するなんてできっこありません。
でも、あっけらかんと風俗入りしてしまう彼女たちの「軽さ」が、いいなぁ、とも思ってしまいます。僕が風俗嬢が好きだというのは、そのあっけらかんとしたエッチさに惹かれてるんですね。
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