「エロ系ライター」安田理央 Presents
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ブラックパック伝説

今から十数年前、そのあまりにアナーキーな内容で一世を風靡した無審査ビデオが存在した。人はそれをブラックパックと呼んだ。


内臓派の僕としては、ここ数年のインディーズビデオのアナル無修正、マンコの中も無修正という過激な展開は大歓迎なのであります。特に豊田薫カントクの「リア王」なんか、正に奥までパックリ開いて、ピンクのハラワタまでじっくり見せてくれて喜ばしい限り。もう、カラミもアナルファックもどうでもいいから、ハラワタを見せてください、ハラワタを。クスコでマンコをガバッ、アナルを肛門鏡でガバッ、へっへっへ、お嬢さん、ハラワタまで晒す気分はどうだ? いやぁ、見ないでぇ、恥ずかしい~っ、てな展開が一番興奮するわけですね。

そんな偏った嗜好の人間(ま、変態っすね)に、僕はどうしてなってしまったのかと考えてみると、その原因のひとつに高校生という性的人格形成に重要な時期にブラックパックというヤバイものにハマってしまったのがいけなかったのではないか。ある日、そう気づいたのであります。

ブラックパックとは、84年から86年にかけて一部でブームとなった無審査ビデオの総称で、黒い紙パックに入っていることから、こう呼ばれていました。初期は大人のオモチャ屋などで売られていたようですが、次第にレンタルビデオ店のアダルトコーナーへと進出していったのです。

当時のレンタルビデオ店は、今よりももっといかがわしいムードがありました。ちゃんと一般向けビデオが置いてあるのに、アダルトコーナーのすえた匂いが店全体を包んでいたというか・・・。もちろんアダルトコーナーは更にその匂いが濃く、そしてその中でももっともクサイのが、ブラックパックが並べられた一角だったのです。一時期はどのビデオ店にもコーナーがあったのですから、かなり人気があったのでしょう。

当時高校生だった僕が、なんでこんなディープな代物にハマってしまったかといえば、最初は単に露出度が高いという理由だったと思います。

ブラックパックでは、モザイクのようなスマートな修正は使われません。主な修正法はシェービングクリームです。いきなり剃毛だぁ、という唐突な展開になって股間にシェービングクリームをシュー。ちゃんと剃毛する時もありますが、するフリだけだったり、あるいは剃る前からツルツル(他の撮影で剃られた後か?)なのに一応シェービングクリーム塗ってみたりして。野外レイプなのに、いちいちシェービングクリーム塗って剃毛始めるなんて作品もありましたな。そんな余裕かましてる場合か。

まぁ、そんな風にワレメをシェービングクリームで隠しているだけなので、チラリチラリと具が見えちゃうのですね。そしてアナルは丸見えのまま。

それから、画面の陰陽を反転させるだけという修正もありました。金や銀でマンコを塗るだけという修正(?)もありました。もちろん両方とも形状は丸見え。

裏ビデオはバンバン出ていた時期ではありますが、高校生が手に入れるのは色々と難がありまして、その点ブラックパックならば、レンタルビデオ屋で簡単に借りることが出来たんですね。

そんなワケで僕はブラックパックを片っ端から借りて見ていました。ちょうどこの頃、ラッシャーみよし氏、藤木TDC氏がブラックパック評論家として売り出していまして、お二人のブラックパック評を参考にしていたのを思い出しますね。まさか十数年後に同業者になっちゃうとは純真な高校生の僕は思いもしませんでしたが。本原稿も藤木先生に資料提供していただきました。感謝。

シェービングクリームでマンコ自体は見えないものの、クスコ突っ込んで内部を大写し。あるいは肛門鏡で、アナルの中を大写し。こりゃスゲエ、普通の裏ビデオよりスゲエ、と高校生の僕は感動し、現在のハラワタフェチへと至るわけであります。そういえば、この頃はオモテのAVでも、豊田薫監督が「マクロボディ」シリーズでハラワタ撮影やってましたねぇ。ああ、今も昔も変わらない情熱。 しかし、ブラックパックが凄かったのは、ハラワタ露出だけではありません。むしろそれはほんの一部。とにかくアナーキー&バイオレンス&脳天気というのがブラックパック。

まずブラックパックがブレイクするターニングポイント的作品が『ザ・変態男』であります。精神病院を脱走したキチガイ男が女性宅に侵入し、陵辱の限りを尽くすのですが、生きたザリガニに乳首やクリトリスを挟ませる、火のついたローソクをマンコに挿入する、ビール瓶も挿入する、といった人権完全無視の責めのオンパレード。

ここで火がついたブラックパックは、以降も極悪非道な責めをエスカレートさせていくのであります。『少女SMいじめっこ』での麻雀点棒アナル挿入、『セーラー服SM ウナギ男』のウナギマンコ挿入、『ザ・変態男パート2』のドジョウ浣腸、『白昼堂々』でのビー玉浣腸、『アナル地獄 極悪編』でのアナル鉛筆3本挿入、そして『BLACK BALL』のタバスコ浣腸(!)。

ブラックパックにおいては、「アナルは性器ではない」という理念が確立していたようで、自然と隠さなくてもよいアナルへの責めに力を注ぐようになって行きます。クライマックスが浣腸というのもブラックパックの基本パターンでありました。

しかし、そんなにハードな責めをやっていながら、ショボイ撮影のせいか、どこかとぼけた味があったのも、またブラックパックの魅力でした。『ドキュメント変態少女』のバター犬プレイや空気浣腸後のオナラでのシャボン玉作り、『美少女変態地獄 蝕辱』での定食女体盛りなど、もはやSMを超えてギャグでしかないような責めも続出。ブラックパックは、独自の小宇宙を構築しておりました。

またカラミやフェラがほとんどないのもブラックパックの特徴。カラミがなければ、お上もうるさいこといわないだろう、という判断なのでしょうが、それにしても睡眠薬飲ませたモデルを好き勝手になぶる(『変態試験』)ってのは立派な犯罪だと思うぞ。

そして86年、ブラックパック業界にひとつの革命が起きるのでした。それが『実録 獣たち』から始まるスーパーブラックの登場です。ブラックパックの創生期から関わっていた制作グループがプライドをかけて豪華紙箱で出したシリーズ。つまり黒箱=ブラックパックではないんですけどね。値段もブラックパックの相場45分2万円より少し高い40分2万千円。もう気合いが違います。もちろん内容も気合い充分。

とにかくモデルを殴る蹴ると本気で暴行。女の子も本気で怯えているし、泣いている。とにかくリアルなバイオレンス路線。『ひとみ叫喚』なんて電気ドリルつきつけて脅しちゃうんだよ。バクシーシ山下の元祖がここにいたって感じですな。

87年には、ビデ倫メーカーからの圧力でAV情報誌がブラックパックを取り上げることをやめたり、海賊版が横行したり、薄消しビデオ(シースルービデオ)が出現したりと、様々な理由によりブラックパックは失速して行き、88年には完全に消滅。思えば短命なジャンルでありました。まぁ、行くところまで行っちゃったから、という印象でしたね。そしてオモテのAVは黄金期、バブル期を迎えるのでありました。メジャーなメディアとして華やかなスポッライトを浴びるようになったAVは、元来持っていたブラックパック的ないかがわしさを完全に消し去ることでメジャーを目指そうとしているかに見えました。一時期はAV情報誌でもレギュラーで紹介されていたブラックパックなのに、AVの歴史からは抹殺されてしまったように、その存在が語られることはありませんでした。

しかし数年後、AVバブルが崩壊。AVのトレンドはゴージャスな単体アイドルモノからアナーキーな企画モノへと移行。そして、ビデ倫無審査であるインディーズビデオが台頭してきました。

ビデ倫の規制という歯止めがないが故に加速度的に暴走を続けている今のインディーズシーンを見ていると、ブラックパックというのは、まさしくインディーズビデオの先駆けだったんだなぁと実感します。

AVの名作ですらメーカーでも保存されていないというビデオの世界です。あれだけ猛威をふるったブラックパックですが、もう入手することはできません。本稿を読んでブラックパックに興味を持ったとしても、見ることはできないのです。ブラックパックとはAVマニアが見た一瞬の悪夢だったのでしょうか……てなことを書こうと思ったんですが、いやー、びっくり。まだ売ってるんですよ、ブラックパック。この間、神保町の某アダルトショップのビデオコーナーを見たら、懐かしい黒箱がズラリと並んでるの。それも新品。3500円でした。思わず、名作『変態少女』と『桃色吐息』を買っちゃいましたよ。しかし10年以上前のビデオですよ。なんでまだ売ってんでしょう。いやー、奥が深いぜ、ブラックパック。

てなわけで、10年ぶりに『桃色吐息』のクスコでパックリと開かれたピンクのハラワタを見て、時の流れに思いを馳せつつセンズリこいたのであります。


『セーラー服 乱気流』(スタジオ84)

宇宙企画にも出演していた岡田麻美が宙吊りで脱糞! しかもかなり大量に太いのを!

『ロリータ セーラー服 桃色吐息』(丸の内企画)

クスコによるマンコ内露出、両穴バイブ、ローソク、牛乳浣腸。モデルのパー加減が最高。

『白昼堂々』(マニア企画)

トラックの荷台でSMプレイ。アナルへのビー玉20個挿入&火付きローソク挿入は圧巻。

『アナル地獄極悪編』(ワエイ企画)

肛門鏡で奥まで開いて腸から便を掻き出すなどハードなアナル責めのオンパレード。

『ドキュメント変態少女』(ブラックデビル)

バター犬プレイもすごいが、圧巻はやはり空気浣腸後のオナラでシャボン玉&玉吹き。


「なまビデオ」98年12月号より

いやー、ブラックパックはいいですよ。いまだに見てもヌケるもん、なぜか。

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