「エロ系ライター」安田理央 Presents
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ビニ本の卑猥な世界(前編)

ビニールに包まれたその写真集の表紙では、大股開きの女の子のパンティに、うっすらと陰毛が透けていた。それは事件だった。ビニ本の歴史の生き証人、コレクター斉藤修氏が選ぶ初期ビニ本ベスト5! 80年代のエロは、ビニ本から始まったのだ!


陰毛が見える、それは革命だった

ヘアヌードが事実上解禁されている現在では想像もつかないだろうが、かつて陰毛は貴重だった。ヌード写真に陰毛が写るなんてことは考えられなかった。だからこそ、80年のビニ本ブームは衝撃的だったのだ。

「初めて神田のH書店でビニ本を見た時は驚きましたね。表紙で大股開きしている女の子のパンティから陰毛がうっすらと透けて見えるんです。何かの間違いだと思って慌てて買いました」

ビニ本とのファーストコンタクトを回想するのは、ビニ本・裏本コレクターとして名高いAV監督/ライターの斉藤修氏だ。斉藤氏はビニ本だけでも4000冊以上を所蔵している。

ビニ本とは大人のオモチャ屋などでビニールに包まれて売られたエロ写真集の通称で、72年の「下着と少女」(松尾書房)がその第一号と言われているが、ブームとなったのは80年にパンティの股間の裏地を剥いで透けさせた、いわゆるスケパンの登場がきっかけだ。

「すごい勢いで点数が出ていたし、ビニ本は基本的に増刷しないから、買い損なうと二度と手に入らないんです。だから毎日のようにビニ本屋に通っていましたし、家賃と食費以外は給料をすべてビニ本に費やしてましたね。それに過激度がどんどん増していくんです。陰毛がうっすらと透けていてスゴイと思ったのに、半年後にはもう性器までが見えてた。このままポルノ解禁になるような勢いでしたね」

この頃話題になったビニ本に、ミス・ヌード・ワールド・ページェントで準優勝した岡まゆみの「慢熟」がある。なんと10万部も売り上げたという大ベストセラーだ。当時、ビニ本の出版社は200社を数え、毎月300種類が発売される100億円産業にまで発展していた。

またビニ本で革命的だったのは単に露出度だけではなく、モデルの質の向上という点もあった。それまでのエロ本モデルは、水商売や風俗関係のいかにもケバイ女性が多かったのが、ビニ本ブーム時には、ごく普通の可愛い女の子が出演するようになっていた。その中から五月ナミ、田口ゆかり、木下まゆみ、中村絵美といったビニ本アイドルが産まれた。なかでも、「ビニ本の薬師丸ひろ子」と呼ばれた小川恵子の人気はズバ抜けていて、大学生から圧倒的な支持を受けていた。こうした可愛らしい女の子がニッコリと笑って大股開きをする。それまでの淫靡なエロ写真とは違った、明るいエッチがビニ本にはあった。

しかしビニ本ブームは翌81年の夏には終焉を迎える。警察の取り締まりが厳しくなり版元や販売店が次々に摘発された。

さらに、完全に非合法なモロ見え本である裏本の登場が、ビニ本の息の根を止めた。うっすら見えるよりも、モロ見えの方がいい。気まぐれなユーザーはビニ本を捨て裏本へと群がった。200社あった版元はわずか50社へと減少。一部の版元はアダルトビデオメーカーや雑誌出版社へと転身した。KUKI、宇宙企画、アトラス21、白夜書房、英知出版などはこうしたビニ本版元転身組の成功例である。

しかし、ビニ本は死滅したわけではなかった。83年、信じられないような光景がビニ本屋に展開したのだ。(つづく)


ビニ本コレクター斉藤修氏が選ぶ初期ビニ本ベスト5

誘惑

当時は発禁になった一冊。「スケパンが主流だった時期に、パンストという手法を使った点がセンセーショナルでした」(斉藤氏)。直にパンストを穿いているだけなので、当然ながら露出度は高い。膨らませたコンドームを局部の前に置いただけというカットまであった。丸見えである。

早春譜(プレス・インドア)

ビニ本界の薬師丸ひろ子・小川恵子出演。ほとんど笑顔を見せない独特のムードが魅力的だった。「一番入れ込んでいたモデル。出演作は全部買いましたね。スケパン初期で引退しちゃったから、あまり過激な露出の本はないんだよね。それでも可愛さはダントツで人気はあった」(斉藤氏)

レズレス(大共社)

絵の具を塗りたくり合うなど企画色の強いレズものだが、片方のモデルが、人気のあった中村絵美。「たくさん出演していたけど、処女だったというウワサがあった。だから後に裏本に出た時も挿入カットがなかったな」(斉藤氏)この本では絵の具を塗っただけで性器が無修正なカットも。

GAL Fain(イーストブックス)

数多くのビニ本に出まくった人気モデルの一人、木下まゆみ出演作。「色っぽいフェロモン系の子。挑発的な大股開きがよかった。柔らかそうなオッパイも印象的」(斉藤氏) ちなみにこの本では手塚めぐみとクレジットされている。ビニ本モデルは本によって名前が変わっていることが多い。

ニューセーラー(エドプロ)

スケパン初期の名作。こんな可愛い女の子が出演し、しかも陰毛を透けさせているというのは革命だった。「最初に買った時の一冊。今見れば大したことない露出度だけど、当時は衝撃的。よく見ると性器まで透けているような気がした」(斉藤氏)。記事ページもあり自販機本的作りだ。


「スコラ」98年11月12日号より

この頃、なぜかエロメディア発掘物の原稿ばかり書いていた。

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