「千人斬り」(東京三世社/定価550円/隔月刊)
エロ本に限らないのだが、ひとつヒットが出れば類似誌が続々と作られるのが出版界の掟だ。昨年あたりから、この「千人斬り」の類似本が何誌も登場している。
真似したくなるのもわかる。なにしろ作るのが簡単そうなのだ、この「千人斬り」という雑誌。
いわゆるハメ撮りグラビア誌で、オールカラー68ページに4人のモデルが各15~20ページずつ登場。ただそれだけ。記事やコラムどころか、文字はほとんど無し。それぞれの女の子の簡単なプロフィールのみ。さらにレイアウトも、1ページに写真が1枚どーん、もしくは上下に1枚づつ、という超シンプルさだ。
写真自体は、ハードコアなファックシーンばかり。モザイク修正されているものの、局部アップ、接合部アップのオンパレード。
ようはこれ、裏本なのだ。シンプルなレイアウトといい、ひたすら実質主義な写真のアングルといい、裏本そのものだ。とても編集のプロが作った雑誌とは思えないプリミティブな構成。しかし、それが実に強烈なインパクトを与えてくれるのである。
エロ本としての実用度は、とてつもなく高い。ギャル系の可愛い女の子たちが、にっこり笑って大股開き&陰唇開き。モザイク越しにも男優の肉棒がズブリと入っているのが、はっきりと確認できる結合ショット。アート気取りのカットは1枚もないという清清しさ。
「なんだかんだいっても、アンタらが見たいのはコレなんでしょ?」と言う編集者の声が聞こえてくるかのようだ。
しかしこの暴力的なまでなダイレクトさは、かなりの編集センスの裏づけがあってのものだろう。実際、雨後のタケノコのように出版された類似誌が、ほとんど廃刊の憂き目を見ているのを見てもわかるように、スタイルだけを真似ようとしてもダメなのだ。シンプルなものほど技術が必要。
それにしても「千人斬り」に登場している女の子たちの、あっけらかんとした表情はすごい。湿度の無い笑顔で自らの指で性器を開き内臓まで晒し、楽しそうに肉棒をしゃぶり、そして貫かれている。その恥じらいが全く欠如した表情の向こう側には、ワケありの人間ドラマなどを想像する余地は全くないのである。
エロには情緒が大切だ、と考えてしまう世代には、「千人斬り」は少々刺激が強すぎるかもしれない。しかしこの、身も蓋もなさこそが、まぎれもなく現代の「エロ」なのである。
*「特選小説」(綜合図書)02年7月号「エロ本探訪」より
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